AGA治療薬のプロペシアとザガーロの作用機序の違い

AGA治療薬として承認されている医薬品にプロペシアとザガーロがあります。プロペシアはもともと1997年に前立腺肥大の治療薬として承認されていましたが、男性型脱毛症への効果が認められ2005年にAGA治療薬として承認されました。ザガーロは2015年に承認された比較的新しいAGA治療薬です。この2つの薬はAGAの治療に対する作用機序に違いがあります。

男性型脱毛症は、男性ホルモンの一つであるDHT(ジヒドロテストステロン)が影響しています。DHT(ジヒドロテストステロン)は前立腺肥大の原因にもなる物質で、思春期を迎えるまでは男性の成長に重要な役割を果たしますが、それ以降は悪影響の方が多く見られます。脱毛症が発生する原因は、DHTにより発毛と育毛のサイクルが短縮されることにあります。正常な毛髪は2年から6年かけて成長し、生え変わるサイクルになっていますが、DHTの濃度が高くなっている状態が頭部に発生することで成長の期間が数ヶ月から1年に短縮されます。主なメカニズムは、DHTが、頭皮にある毛穴の皮脂腺にある受容体と結びつくことで皮脂を過剰に分泌するため毛穴をふさぎます。毛穴がふさがれることで毛髪が十分に育つことができない状態になり、結果として細くて短い状態になります。十分に育つことができない毛髪は、通常よりも短い期間で抜けてしまいます。この繰り返しにより、髪の毛の薄い部分が、髪の生え際、頭頂部に見られるようになります。男性型脱毛症の特徴として、後頭部にはこのような症状が発生しません。原因となるDHTは、5α還元酵素によって、テストステロンと呼ばれる男性ホルモンの一種から代謝されます。脱毛症が見られる部位を観察するとDHTの濃度が高くなっていることが確認されました。AGA治療薬は、5α還元酵素阻害してDHTが代謝されるのを抑制し、濃度を下げることを作用機序としています。5α還元酵素にはⅠ型とⅡ型と2種類ありますが、プロペシアはⅡ型のみの5α還元酵素阻害を作用機序として承認されています。承認当時は、Ⅱ型のみを抑制することで男性型脱毛症については十分効果が得られるとされていました。プロペシアを服用することにより、DHTの代謝を抑え、濃度が低下させることで、発毛と育毛のサイクルが正常化し、毛髪がしっかりと成長するようになります。だいたい3年間服用を酢づけることで98%の服用者に改善の効果が見られたという結果が確認されています。同じAGAの治療薬として承認されているザガーロの作用機序についても基本的には同じで5α還元酵素の阻害を行なってDHTの代謝を抑制し、濃度を下げる効果が期待できます。

大きな違いとしては、5α還元酵素のⅠ型も抑制する働きがあるということです。いままでⅡ型のみで十分とされていましたが、その後の研究でⅠ型についてもテストステロンからDHTの代謝に影響していることが確認されました。そのため、ザガーロはプロペシアでは抑制することができないI型についても効果が期待できるためより多くの5α還元酵素阻害を行うことができます。

ザガーロとプロペシアは、5α還元酵素阻害を効能としたAGAの治療薬です。発毛して十分な育毛期間を経過した髪の毛は、太くしっかりとしたものになります。抜けにくく、多くの髪の毛が保持されるため薄い部分が少なくなり、目立たなくなります。作用機序の違いとしては、抑制する5α還元酵素の種類によります。プロペシアは、1種類、ザガーロは2種類の酵素に影響して髪の毛の発毛と育毛サイクルを正常化します。プロペシアだけでは十分な効果が得られなかった場合でも、ザガーロであれば効果が期待できるかもしれません。

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